【リフォーム1000】酸化皮膜とは?酸化皮膜の除去・生成

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◆酸化皮膜の除去・生成の解説

◆酸化皮膜とは?酸化皮膜の構造と働き

 酸化皮膜とは鉄やアルミニウム、ステンレス等の金属類の表面に発生する、いわゆる「錆」の事を指し別称「不動態皮膜」とも呼ばれておる保護膜のことじゃ。

 但し、一般的に認識されている「錆」とは鉄の自然酸化によって生じる赤錆などを指しておるが酸化皮膜による錆は一般の錆とは性質が異なっておる点を把握しておく必要がある。

◆赤錆と酸化皮膜の違い

 鉄やアルミ等の金属類は金属表面が空気に触れることによって酸素と反応しとても薄い酸化化合物の膜を生じるようになります。

 鉄に発生する赤錆は、下地の保護作用はなく、赤錆を放置しておくとどこまでも錆は進行し「腐食」が進むことになります。

 その結果、最終的には還元前の安定した状態である酸化鉄に変化しボロボロと崩れるような弱い構造となっていく訳です。

 対して鉄に「クロム」「ニッケル」を加えた合金である「ステンレス合金」に生成する酸化皮膜は、酸素と触れ合うことで生成され金属の表面にとても薄い保護膜を形成します。

ステンレス合金の酸化被膜生成【画像】

 この酸化皮膜はとても緻密な構造となっており、あらゆる物質媒体を遮断する働きを持っているのです。

 建築資材であるアルミサッシなどは最初から全体に酸化皮膜を施す事で「防錆処理を施した状態」で製品として出荷されます。

 その為、少し解りにくいかもしれませんが、酸化皮膜を生成する事で結果的に錆の発生や侵食を防止する働きを付加することに繋がっているという訳です。

 簡潔に言えば通常の錆の発生を防止する目的で酸化被膜という錆をコーティングしているのですね。

赤錆と酸化皮膜の違い【画像】

 尚、フライパンなどに施される「黒色酸化皮膜」に関しては金属類の表面の傷や錆の発生を防止する「防護被膜」としての役割があります。

 その為、意図的に酸化皮膜を生成し腐食に強い金属加工を施すことが可能となります。

◆ステンレスの酸化皮膜

 ステンレスと言えば錆びない鉄というイメージが定着しておるのではないじゃろうか。

 ステンレス=Stainlessの「Stain」は錆びるという意味合いがあり「less」は、~がないという意味を持っておる。

 コードレスと言えばコード無し、コードのいらない製品という意味じゃが、ステンレスは錆びない鉄(錆びにくい鉄)という事になるのぉ。

 ステンレスは前述したように鉄にクロムやニッケルを配合した「ステンレス合金」の事じゃ。

 ステンレス鋼には様々な種類がある。

 これらのステンレス鋼は配合する金属の割合によって様々な種類のステンレス合金が生成できるということじゃ。

◆ステンレス合金の耐久性

 話が少しそれましたが、ステンレス合金が錆びにくい鉄である理由は、合金として鉄に配合する「クロム」「酸素」が結合し、金属の表面に非常に緻密な防護膜を生成する為です。

 ステンレスの表面に生成される酸化皮膜は、安定した構造で均一に膜を形成する為、腐食に強い性質を持ちます。

 更に、何らかの外部的要因によって酸化皮膜の組織が破壊されてしまった場合でも、ステンレス合金に配合されているクロムが酸素と即時に結合し新たに酸化皮膜の防護膜を構築します。

 その為、ステンレスは長期的に耐久性のある腐食に強い素材として幅広く活用されているのです。

◆酸化皮膜の除去と生成

 酸化皮膜は、僅かな時間で発生する性質を持っております。

 その為、金属の加工を行う際には酸化皮膜の適切な処理を行うことが求められます。

 酸化皮膜は腐食の防止という側面ではとても有効な防錆、防腐処理手段であると言えます。

 しかし、金属類に生じる錆は「伝導性能」にも影響を及ぼします。

 ですから精密機器を製造する工程や伝導性能が求められる半導体等では酸化皮膜の除去を行う必要性があります。

※錆は伝導性能を低下させるため半導体などの精密機器部品は酸化被膜の除去が必要となる

 酸化被膜の除去は前述したように短時間で酸化する性質を考慮し、「ハンダ溶接」などを行う際は、溶接工事の直前に酸化皮膜除去を行うことが大切です。

◆酸化皮膜の除去方法

 酸化皮膜を除去する方法は、化学的処理を施す除去方法と機械的処置を行う2つの除去方法があります。

 一般的に行われる酸化皮膜の除去では、専用の酸化皮膜除去剤を使用して処理を行う方法です。

 また、ステンレス鋼の酸化皮膜の除去では「塩酸」を用いて表面の酸化皮膜を破壊することができます。